最近、「平成レトロ」って言葉をよく聞くようになりました。写ルンです、プリクラ帳、たまごっち…どれも平成世代にとっては懐かしいを通り越してついこの前のモノだったりします。
でもZ世代にとっては、それが「レトロかわいい」「逆に新しい」となってるらしい。え、マジで? 平成ってもうそんな前の話?
この懐かしさの感覚ズレをのぞいてみると、世代の価値観や「エモい」の正体がちょっとだけ見えてくるかもしれません。

え、ちょっと待って。私が小学生のとき流行ってたやつ、もうレトロ扱いされてんの…?

まぁ、時の流れは残酷やな。平成ももはや歴史の一部やで?

え〜!なんか聞きたくなかった…。
Z世代の「懐かしい」ってどこから?
Z世代とは、おおよそ1997年から2012年ごろに生まれた世代を指します。 この世代が物心ついたときには、すでにスマホやSNSが当たり前に存在していたので、「平成初期」の文化とは明確に距離があります。
たとえば2000年代初頭の「写ルンです」や「ガラケー」も、Z世代から見ると「お母さんが昔使ってたやつ」的な存在。実際に使ったことはなくても、写真や動画で見たことがある、という半リアルな記憶として残っているんですね。
ちなみに「平成レトロ」って何が該当するの?という方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。
▶ 関連記事【図解あり】昭和レトロと平成レトロの違いをぜんぶまとめてみた
Z世代がハマるレトロアイテムまとめ
実家にあったアイテムが「エモく」なる瞬間
- 写ルンです(インスタに上げると味が出る)
- たまごっち(最新版じゃなく初代に惹かれる)
- プリクラ帳(手書きの落書きが逆に新鮮)
- ガラケー(今は逆におしゃれで持ちたい)
- キーホルダー付きポケットゲーム(駄菓子屋感がエモい)
- サンリオ文具セット(90年代後半のグッズが高騰)
Z世代は、親や兄姉の影響を受けて、触れたことのある家の中の古いモノを自分の感性で再評価している感じがあります。
ちょっと前までは「ダサい」「古い」とされていたアイテムが、SNSで「エモかわ!」と再評価され、リメイクや復刻ブームにもつながっています。
こういった実家にあった系のアイテムが、Z世代にとっては「手にしたことないけど懐かしいもの」として人気に。
実際、古着屋や雑貨店では平成風のグッズやおもちゃがディスプレイされていて、Z世代の来店者が「これ昔ママ持ってたやつー!」と盛り上がっている姿もよく見かけます。
SNSで再発見されたレトロカルチャー
レトロゲームを再現したアプリや、当時のCM風エフェクトで加工したTikTok動画など、SNSの中で「平成風」をあえて再現するムーブメントも広がっています。
令和生まれが「ファミコン風ゲームで遊んでみた」と投稿しているのを見ると、「いや、それお父さんの青春やろ…」とツッコミたくなるのは私だけではないはず。
昭和レトロも逆にアリな存在に
Z世代の間では、「昭和レトロ」アイテムへの関心もじわじわと高まっています。特に人気なのは、純喫茶風の脚付きグラス(いわゆるラッパグラス)や、アデリアレトロのような昭和花柄食器。
また、クリームソーダやプリンアラモードの映えスイーツとしての再流行も、昭和文化の再評価を後押ししています。
これらは、平成生まれのZ世代にとって完全に知らない世界ですが、「逆に新しい」「世界観がかわいい」という理由で、カフェ巡りや雑貨購入のモチベーションになっているようです。

このへんになると、Z世代というか親世代が実家にあった系のアイテムやな。
体験してないのになぜ懐かしい?
Z世代が直接触れていないはずのものに、なぜ「懐かしい」と感じるのでしょうか。
その背景には、SNSで日常的に過去の映像やアイテムをバズワード化して見ていることが影響しています。平成〜昭和の映像にエモ加工をかけて投稿されると、体験していなくても「なんかいいな」と思える感覚記憶が生まれやすくなるのです。
また、親世代が使っていたものを家で見たり、写真アルバムの中に写っていたりすることで「知っている気がする」状態になることもポイント。懐かしさって、実体験だけじゃなく、空気を吸ったことがあるかどうかでも生まれるんですね。
エモいってつまりどういうこと?
Z世代の「懐かしい」と「エモい」は、ほぼセットで登場します。
このエモいという言葉には、「感情が動かされた」「なんか心に残る」といった漠然とした情緒が込められていて、説明できないけど心が揺れる瞬間を表現するのに便利な言葉なんですね。
だから、「懐かしい」と感じるアイテムがかわいいとかおしゃれとかと結びつくと、「それってエモいよね!」になる。特に写真や音楽、映像の世界では画質の粗さや、古さが逆にエモさとして評価される傾向があります。
つまりZ世代にとっては、「古い=エモい=オシャレ」な価値変換が自然に起こってるというわけです。
Z世代のレトロブームは「再発見」じゃなくて「再構築」
Z世代がやっているのは、単なる「再発見」ではありません。
例えば、当時のままのガラケーを持ち歩くのではなく、ガラケー風スマホケースを作ったり、昭和の制服風のコーディネートに現代っぽい小物を合わせたり。当時感をベースに、自分なりにアレンジして楽しんでいるんです。
この「再構築」こそがZ世代のすごさ。SNSで見たアイデアを自分流にアレンジして投稿し、「いいね」がつくことで文化が加速していく。トレンドを編集して遊ぶのが得意な世代なんですね。

なるほど…Z世代って、ノスタルジーを加工してるって感じなのかも?
まとめ:Z世代の懐かしさは「記憶」じゃなく「センス」
Z世代にとっての「懐かしい」は、体験の記憶ではなく「センス」として存在しています。
写ルンですを持ってた思い出はなくても、その雰囲気がなんか好き。たまごっちの世代じゃないけど、あのドット絵と音が落ち着く。そんな共感の雰囲気こそがZ世代の懐かしさの正体です。
これって、これからのマーケティングやトレンドにもすごく影響しそう。過去をリメイクして提供するだけじゃなく、どう感じさせるかが重要になる時代になってきたのかもしれません。

うん、もう懐かしいって気持ちすらオシャレに編集できる時代なんだね。レトロを自分の感性で楽しむ、ってちょっとかっこいいかも!

せやな。昔を知ってる世代も、Z世代の感性から学べること、ぎょうさんあるで。